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 主戦場の前に恒例のステーキの会。かれこれ10年以上通うリブロースのステーキ専門店である。メニューは薄切りのステーキ・フリットのみ。オーダーは焼き加減の希望だけ伝える。前菜のサラダがついてる。まずはサラダがサーヴされそれを終えると自家製ベアルネーズソースに絡められたステーキが運ばれてくる。フリットはおかわり自由、ステーキもおかわりのプラトーが蝋燭で温められながらサーヴされる。ワインは田舎風のボルドーかコート・ドゥ・ローヌのみ。もちろん自然派ワインなどという物は皆無だ。フルボディの赤で食らうのだ。オーセンティックなステーキ・レストランなのである。


 開店前に長蛇の列ができる。列にはいつもの顔馴染みがちらほら。イタリア人のアンティーク・ディーラーも毎回見かける。案内のギャルソンは僕らのことを覚えていていつも笑顔で案内してくれる。建物は二階建てで最初の列で大体埋まってしまう。タトゥー が入った元気の良い女性がステーキを運んでくる。


 大体ここにくる時僕たちは結構疲労が溜まっていて(梱包と発送がひと段落したタイミング)このステーキで後半戦に向けて気合を入れる。ここのステーキを食べないと何も始まらない。ある時、臨時休業だった時は死ぬほどうろたえた。レストランの前で絶望していた時、イタリア人ディーラーも同じく絶望していた笑 まじかよ...どうしてくれんだよこの気持ち...まさに絶望である。思わず肩を叩きたくなった、、わかるよ。僕も同じ気持ちだ、、、仕方ないじゃないか、、、こんな事もあるさ、、、さっさと宿に戻って今日は寝ちまおう、、、それほどここのステーキは絶品なのだ。当たり前だけどその辺のビストロのステーキフリットとは次元が違う。


 今回はいつもステーキを共にするS子さんに加えTさんがこのステーキを初体験した。本当に美味しいから行きましょう!と。世界中を旅してきたTさんの感想が気になるのだ。


 飯村さん!まずはビールでしょう!とまずはビールで乾杯した。何気にここでビール飲んだの初めてかも。S子は安定の炭酸水である。サラダをペロリと平らげるとメインのステーキが運ばれてきた。いつも通り素晴らしい。コロナやウクライナ情勢を経て肉の量は若干減量された気もするけれど味は間違いない。


 Tさんの感想は肉の焼き加減は申し分なく、とても美味しい、しかもこの自家製ソースが衝撃的に美味しいとのお言葉をいただいた。はっはっは!そうでしょう!そうなんですよ!Tさんはこのソースの分析にとりかかった。S子さんいわくフランスのステーキの定番ソースということだ。が、やはりバターの質や火加減、それに複雑な香りはいく種のハーブを調合しているかもしれない。エシャロットやビネガーのセレクトも自家製だけに知る由もない。同じソースでも似て非なるのがソースである。


 以前Kくんがパリの姉妹店で食べてみたけどやっぱ南仏のレストランの方がソースも肉も美味しかったと教えてくれた。こうして僕はTさんを新たにステーキ仲間に加えることに成功した。楽しい。


 ちなみに次の日の蚤の市の帰りにTさんはまだソースの話をしていた。まさか、、、そこまで、、、!?もう完全にあの店の虜じゃないか。Tさんまた行きましょうね。ちなみにフリットのおかわりをしたのは私イイムラのみでした。。ハハハ お子ちゃまなのである。










 
 
 

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